大人な君へ
写真をぎゅっとにぎりしめたまま
俺は止めることのできない
涙を体中の水分がなくなるほど泣いた



でも………
涙は俺の痛みを流しては
くれなかった…………



俺さえ……………
俺さえいなかったら……



無意識のうちに
部屋にあったハサミを
手にとっていた………



バシンッ!!!!



右の頬に痛みが走った



「ダメッ!!!!」



大きな声で必死に止める
千佳の姿が我に帰った
俺の目にはいった



「…………なんでたよ!!
なんで……………なんで!!」



俺は千佳の肩をつかみ
いっぱいいっぱいに揺らし
狂ったかのように
千佳に問いかけ続けた



「なんで………なんでなんだよ…
俺が死ねばいいんだよ!!」



「俺がいたから!!俺がいるから
いけないんだよ……!!」



「バカいわないで!!!!」



ずっと黙っていた千佳が
口を開いた



「お姉さんは一言もそんなこと
言ってない!!!」



「いなきゃよかったなんて人間は
この世に一人もいないの!!」



「みんな………みんな
この世に生まれてこなくちゃ
いけない存在なの!!」



千佳は必死に語りかけてきた
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