大人な君へ
「千佳……ごめん……今は」



今ものすごく千佳を
抱きしめたい……



でも今は…………



「ぅうん……ゆうすけ…
大丈夫だからね?」



「…………ありがとう」



千佳はまるで事情を知っている
かねような口振りで電話を切った



千佳………



もう一度走ろうとしたときだった



「ゆうすけ!!!!」



後ろから俺を呼ぶ声がした



「たつや…」



たつやだった…



血相変えたたつやは俺のもとに
ちかづくなりすぐバイクに乗れと
指示した



俺はなにがなんだかわからず
とりあえずたつやのバイクに乗った



「さっき…みかさんから電話があった」



姉貴から!?!?



「でも……無言だった
そのあと鈍い音がして…」



たつやは少し体を震わせた



まさか………



いやだ………
< 90 / 111 >

この作品をシェア

pagetop