夢の国のアリス
最初から、これが現実だなんて思ってはいなかったけれど
夢だともつかない、感覚の確かさに僕は悩んだ。
これはなにかが起きてしまった現実?
それとも現実味のある夢なのか?
「“アリス”はどーこだぁ?」
「!」
鈴を手に頭を抱えていた僕は、
黒猫の言葉に顔を上げた。
アリス
この猫はアリスを知ってるの?
「ねぇ、黒猫さんっ。きみはアリスがどこか知っているの?」
「“アリス”はぁ、知ってるけれども“アリス”はぁ、知らないぃ。」
慌てて聞いた僕に、
宙に浮く黒猫は微笑みを崩さないまま、謎かけのような答えを出した。