夢の国のアリス
「ねぇ、教えてよ。アリスを知ってるんでしょう?」
「“アリス”はぁ、知ってるってばぁ。」
クスクス
黒猫は笑いながら、宙でくるりと回った。
僕の気持ちは焦り始めていた
アリスの弱さを知っているからだけじゃなくて、
この森がおかしいことを知っているから。
未だに腕と足を痛ませる、
茨の傷
アリスが、同じ傷を負っていないとは限らないじゃないか。
例えこれが夢でも、そんなのは嫌だった
「ねぇ、教えて!アリスはどこなの?」
僕は黒猫に懇願する
鈴は返すから、と
必死でアリスの居場所を聞こうとした。