夢の国のアリス
あの樹の根元、まだ柔らかい日差しの中
あれからは二人で座り込んでた
「あ、白爪草だ。」
「本当だ。じゃあ花冠作ろうよー」
「うん、いいよ。」
少し離れた所に咲いていたそれを、ウォルナットが見つけて
わたし達は二人で花冠を紡いだ。
暖かい季節にはよく、そうやって遊んだから
白爪草の花言葉を知ってる?とか
他愛のないことを話ながら、小さな子供の手でゆっくりと。
それが完成したのは、滲んでいた木漏れ日と木陰の色が
はっきりと分かれた頃
始まりの始まりが、始まった頃。
「でーきた。ウォルナットは?」
「んー……よし、できたっ。」
わたしは女の子だから器用、とかではないらしかった
花冠の出来栄えはいっつも、あの時も彼の方がキレイだったから。
ウォルナットのキレイな冠は、わたしの頭の上に
わたしのちょっと歪な冠は、ウォルナットの頭の上に乗った。
ありがとう、って
お互いに笑い合ったのは、たしか
それが最後だったと思う。