夢の国のアリス
温かいね、
眠ってしまおうか、って
花冠を頭に乗せた二人は、樹の幹に背中を預けて
いつの間にか眠りかけていた。
「ウォル、ナットォ…」
こんな場所で眠ったら、ママに怒られちゃうな
そんなことを考えながら
心地のいいどこかで揺れる意識の中、わたしは彼の名前を呟いた気がする。
夢の中でも、一緒にいたかったのかもしれない
眠る時、わたし達は知らないうちに手を繋いでいた。
もし、その手を放していたら
彼は違う夢を見たのだろうか。
わたしはアリスに、
なれたのだろうか。
それは、誰も知らない
知ったとしてもあの日のあの時に、帰れはしない。
ねぇ、
わたしはあの日から、
お伽話が嫌いになったよ。
夢を見ることが、
白爪草の花冠が、
お昼寝をすることが嫌いになったよ。
彼も、彼との思い出も好きだから嫌いになった。
あの“約束”をした樹の下で
一緒に夢の中へ落ちたあの日のことも、
不思議の国へ招かれたことさえも好きで―。
..Go.to.Wonder.land...