夢の国のアリス
わたしは、
「…そうよ…ママやパパにとっては、ミシェルのこと……。」
そう、嘘のない笑顔で微笑んで
娘を胸の中に抱きしめた。
行かないで、
あなたは、
“今のわたし”の大切な人は…。
泣きそうになって、
娘に、ママ、大丈夫?と聞かれた。
「大丈夫よ…大丈夫、大丈夫だから……。」
祈るように、願うように、
そう努めて明るく言った。
そして、その日はお伽話もしないまま
娘はすやすやと眠りについた。
わたしはそっとベッドから抜け出し、
寝室の窓から、また月を見上げる
―あなたも、今でもわたしの“大事なもの”なんだよ、
―ウォルナット。