夢の国のアリス
その言葉を言い切ると
わたしの頭の中には、ウォルナットの笑顔が浮かんだ。
“約束だもんね、アリス。”
どこかからか
そんな声が、聞こえてくる気さえする。
これで、これでいい
“約束”は守るから
…ウォルナット。
だけど、
その優しい幻聴と、強い“約束”への想いで、
わたしは危険を感じることを…逃してしまった。
「…そう、そうか、“アリス”…もう歩けないのかい。」
「え?」
白兎の静かな呟き
わたしは耳を疑って、
白兎を見た。
―黒い闇が、
―白兎を取り巻いていた。
「ボクが“また”連れていってあげるから、“二度”と“逃げないで”ね…“アリス”…。」
―ざわめく黒い闇が、
―世界を覆った。