夢の国のアリス
一歩、一歩
白い光に近付いて。
ねぇ、アリス?
きみはなにか願いはある?
望むこと、
すべて叶えてあげる。
食べたいものでも、
ほしいものでも、
どんなわがままだっていいよ
僕が、叶えるよ。
力も、体も、命も、
ぜんぶ懸けて―
あぁ、なんかチシャ猫がうらやましいや
魔法が使えたもん、
一瞬を、必要なだけの永遠に変えたい。
一瞬で、最後の時に、どれだけのことを
きみにしてあげられるだろう。
「…ごめんね…。」
“お別れ”の時のビジョンが見えたけど
見えなかった振りをする。
僕は、もう一回呟いて
もう目の前の光へと
足を踏み出す。
せめて、“さよなら”が言える
“お別れ”であるよう、願いながら―