夢の国のアリス
そしてひとつ、森と同じなのは
ウォルナットがいないこと―。
「う……ウォルナット……ウォルナットォ…ッ。」
色んな感情で熱くなる目から
涙がポロポロと零れ、頬を伝い、茨に落ち
直に消えてなくなる。
―助けにきて。
―わたし、“不思議の国”になんかいきたくない…。
―お願い、ウォルナット…。
「こないさ、あの少年はね。…くる前に、“アリス”はいなくなるしさ?」
「ッ…!」
こちらを振り向いた白兎が、
赤い目で笑う。
その絶望を突き付ける言葉に
胸がたまらなく痛くなる
溢れてくる涙が、止まらなくなる。