ぴーす
「醜い……」


気づいたらあたしは呟いていた。
感情なんてこもってない。
ただ呟いた。



「はぁ!?」


小さく呟いたのに、正面にいた真由ちゃんは聞こえていたらしい。

近寄って来たしずるちゃんはマズイって顔をする。
他の子達の顔も強張る。

どうやらあたしは、真由ちゃんを完璧に怒らせてしまったみたいだ。



「誰が醜いだよ!? どこがだよ!」


真由ちゃんは血相を変えて叫んでいる。
あたしは真由ちゃんの目を見ずに、真由ちゃんの横の黒板をボーっと見つめていた。



「黙ってんじゃねーよ!」


真由ちゃんがあたしの胸倉を掴んできた。
女子とは思えない行動、力。

青いリボンがくしゃくしゃになって解けていた。


「ちょ、やめなって!」


しずるちゃんだけでなく、真由ちゃんの友達も止めに入った。









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