ぴーす




「も〜意味わかんない!」

「ね、最悪!」




放課後、あたしは一人下校していた。
あたしより数メートル前には、真由ちゃんとその友達が愚痴りながら歩いている。


――明日から、あたしも的になるかも。



その予感は、たぶん的中している。

真由ちゃん達はあたしには気づいてないみたい。




「……これで、よかったの?」


いきなり左から聞こえてきた声。
あたしはゆっくりとそっちを見る。

さほど驚きもしなかった。


その声の主、中野はフェンスに寄り掛かり、腰くらいの石段の上にしゃがんでいた。
またマフラーをグルグル巻きにしている。



「いいんだよ、これで」


あたしは遠くにいる真由ちゃんを、真っ直ぐに見つめた。


「いつか、気づくよ」



中野が気づかせてくれたみたいに。
自分がどんなことをしているのか。










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