ぴーす


平和は一人じゃつくれない。


みんなで、つくるんだよ。




「だから、諦めない」



去年みたいに、仲の良かったクラスに戻りたい。

こんな小さいところで、いがみ合って、誰かが傷つくのは嫌だから。
そんな価値とかも、無いから。



「ヘーックシュン!」


盛大にくしゃみをしてしまった。
しかも一応男子の中野の前で。

鼻を押さえた両手は、そこから離れられない。
ゆっくりと右手を抜け出させて、ポケットのハンカチで鼻を押さえた。



「寒いわけ?」


季節はずれのくしゃみを笑うことなく驚くことなく、中野は手を首へ持っていった。

ハンカチをしまったあたしは、首を横に振る。



「ほれ」


その声とともに、中野がさっきまでしていたマフラーが腕の中へ飛び込んできた。

――しろってことなのかな。


いきなりのことに、キョトンとしてしまう。









< 106 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop