ぴーす
平和は一人じゃつくれない。
みんなで、つくるんだよ。
「だから、諦めない」
去年みたいに、仲の良かったクラスに戻りたい。
こんな小さいところで、いがみ合って、誰かが傷つくのは嫌だから。
そんな価値とかも、無いから。
「ヘーックシュン!」
盛大にくしゃみをしてしまった。
しかも一応男子の中野の前で。
鼻を押さえた両手は、そこから離れられない。
ゆっくりと右手を抜け出させて、ポケットのハンカチで鼻を押さえた。
「寒いわけ?」
季節はずれのくしゃみを笑うことなく驚くことなく、中野は手を首へ持っていった。
ハンカチをしまったあたしは、首を横に振る。
「ほれ」
その声とともに、中野がさっきまでしていたマフラーが腕の中へ飛び込んできた。
――しろってことなのかな。
いきなりのことに、キョトンとしてしまう。