ぴーす
「お前ピースマーク好きなの?」


「うわっ!!」



自分の席に着いたとたん、小さな人影に気づいた。


「何やってんの? ……中野」



そこには、体操着で小さく丸まった、中野 大知(ナカノ タイチ)。
何考えてんのかわかんなくて、一番苦手な男子。


「まず俺の質問に答えてほしいんですけど」


この口調が苦手なんだ。
あたしは顔をしかめながら、手に持ったペンポーチを見た。


白生地に、いろんな色のピースマークが描いてある。
ペンホルダまでピースマーク。


「好きだよ? カッコイイじゃんね!」


そう言うと、あたしは机に置いてある縄跳びを持ってしゃがんだ。


「お腹痛いの?」


あたしは中野の目を見て聞く。
中野は大きくため息をついた。









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