ぴーす
「なんでもないけど」


「なら出てこればいーじゃん」


「今この状況で出ていけと?」


中野は首を傾げてすぐに言い返した。


女子がいっぱいな教室。

そのなかで今男子は中野ひとり。



そして――




「真由ホントに実行する気?」

「たいしたことないよぉ、無視くらい」

「まぁ、皆味方だしねぇ」



さっきのことを言ってるんだか、次々と出てくる言葉。



中野にちょっと納得。





「お前さ、」


「ん?」



女子のほうを見ていたあたしを呼ぶ中野の声。




「ピースの意味知ってんの?」


「……はぁ?」



「知らないで好き好き言ってんのかよ」




中野は呆れたように言うとスルッと立ち上がった。足音もたてず、女子に気づかれないまま教室を出ていった。









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