ぴーす
あたしはボーっとしたまま無意識に後ろに下がっていく。
背中がグレーの塀についたと気づくと、足がガクっとなって膝が道路についた。



キーンコーン



低いチャイムの音とともに、テニス部の人達が元の位置に戻ってくる。
あたしは真由ちゃんと芽亜莉に会わないように、小走りで右への曲がり道に隠れた。


「ピース……」


道路についた手を見て思い出した。


「ピースの、意味……」



考えたことないよ、そんなの。

意味なく写真とかピースしてたもん。



しゃがんだまま、背中をグレーの塀につけた。
いつもは制服が汚れちゃうからできないけど、もういいや。


「息白ーい!」


空を見上げて息を吐く。
なんかちっさくなったみたいだ。
あたしは立って、大股で家へと歩いて行った。









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