ぴーす
「みっちゃん行こぉ……。たぶん皆いないけど」


吹奏楽部が出ていったばっかりで、教室にはあたし達以外いない。
だから体育館には誰もいないだろうけど、あたし達がまず行かなきゃ始まんないよきっと。


「うん……。っと、その前にトイレ行ってくる!」


「先行ってるねー」


みっちゃんが前の方のドアから出ていくと、真っすぐ歩いて後ろの方のドアからあたしも出た。

教室から出て、ドアのすぐ前でスカートにほこりが付いてたことに気づく。
大きめのが左に付いてたから、スカートを持って顔に近づけてほこりを取ると、足元でブルブル震えている何かに気づいた。


「うわっ! ……中野!?」


寂しそうに震えていたのは、紛れもなく、昨日とデジャヴのように体操座りで小さく丸まった中野だった。
昨日と違うのは制服の学ランを着て、青いマフラーをぐるぐる巻きにしていること。
そしてよっぽど寒いのか、鼻の頭が真っ赤に染まっていることだ。









< 30 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop