ぴーす
ドンッ



右横のほうからあたしの横腹目がけて、弾丸のような……いや、それにしては大きなものが飛び込んできた。



「……みっちゃんぅ」

「もうビックリした! 何!? 中野と話してたの!?」


弾丸になっていたみっちゃんは、また弾丸のように急スピードでしゃべり出す。
女子特有の甲高い声が近距離で耳に響いて痛い。


「あーうん。そうだけど……」


みっちゃんが興奮しているのがみえる。
そりゃそーだ。


「中野ってしゃべるんだねー」


言葉通り、中野がしゃべれるのかもわからないらない状態。
授業中発言なんてしないし、休憩時間も教室内に見当たらない。

だけどなぜか先生ウケはよくて、全くしゃべんなくてもいいみたいなんだ。

中野と話せるなんて夢のまた夢。
まず存在自体がレア中のレア、幻。

それが、まさかあたしが昨日しゃべるとは。
しかもたぶん、クラス一緒になって初めての会話でかなりムカついて。



あたしはそう思いながら、みっちゃんの歩調に合わせ階段へ向かった。









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