ぴーす
――どうなってんだか……。
今は皆平和に過ごせてるクラスだけど。
最初のころはケンカばっかりで。
なのに皆、おもしろがって見るだけ。
担任でさえ、見てみぬ振りの無視状態。
自分の仕事だけを一人でたんたんと進めていて。
何かキッカケがあったわけじゃないけど、あのころに比べたら、ずいぶんマシになったな……。
でも、担任だけは何にも変化なし。
「ちゃんと、生徒を見てよ……」
自然と、そう呟いていた。
階段も残り最後のひとつ。
この一段を下れば、平らな床に着地して、また数段下って1階に到着。
だけど、どうしてもその一段が、踏み切れなかった。
足は15㎝上で止まったままで、手すりを掴んでいる左手だけがあたしの体を支えていた。
真正面の窓が開いているから、冷たい風が入ってきて、しかめた顔をまた歪ませる。
だけどそれも、なんだかモヤモヤした気持ちも消してくれそうで、今は心地よかった。