ぴーす
「桃花?」
あたしの様子に気づいたのか、みっちゃんが隣から声をかけてきた。
「何でもないよっ」
上げた足をやっと着地させて、視線をみっちゃんから自分の足元に移した。
深夜に降った雨のせいで、ぐちゃぐちゃになった地面を踏み付けた結果が靴下に残っている。
その黄土色の泥は、白い靴下に染み込んで、濡らしてみてもこすってみても、なかなか落ちなくてさらに広がっていく。
くるぶしまで下がっている靴下を直すわけでもなく、隣に並ぶ真っ白い靴下を見つめた。
「ん?」
「ううんっ何でもない!」
みっちゃん相手に、こんな作り笑顔じゃごまかしきれてないだろうけど、そっとしておいてくれるよね。
――みっちゃんは、みっちゃんだから。
また口元を上げつつ、みっちゃんの優しさに甘えて、あたしはまた思考を戻した。