ぴーす
暖房が効き過ぎて溶けたのか、少しネバネバしている。

口に含むと一瞬にして甘く懐かしい味が広がる。
あたしはゆっくり、ゆっくりと食べていった。



「お嬢ちゃん、名前はなんじゃ?」


「桃花です。桐生 桃花(キリュウ モモカ)」


ガム一つで心を開いてしまう子供っぽさに思わず苦笑した。


「ほう……。わしの名前はな、山 仁平(ヤマ ジンベイ)じゃよ」


シワクチャの顔をさらにシワクチャにした山さん。


病院に入って最初の友達、


一番年の離れた友達だった。





「山さんはなんで入院してるの?」


「腰が悪いんじゃよ。あんま良くならんくてなぁ……」


気軽に答えてくれる山さんに、あたしも気軽に話すことができた。


「桃花ちゃんはどうした?」


「あ、えっと……」


あたしは視線を自分の足に映した。

包帯のグルグル巻きで、元よりかなり太く見える。


自分でもみっともないと思ってるんだから、山さんはきっと呆れてるだろう。


それとも同情してるかな?










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