ぴーす

両手に乗っけて、黄色い長方形の固いものを見る。

普通よりも半分くらい小さい。

中野が食べやすいよう割ってくれたんだろう。
不器用にも、一口サイズのカケラなっていた。


中野はもう一つのカケラを口へ放り込む。

きっとあたしの手の中のクッキーと、中野が食べたのを繋げたら、きっとパズルみたいに合うはずだ。


あたしも中野の真似をして、口の中へ放り込んだ。

多少無理があったのか、コントロールが悪いのか、カケラのまたカケラが膝に掛かってるシーツに落ちた。

足元にいる中野にバレないように、右手でカケラを床に落とす。

パラパラと落ちる音を掻き消すために、もう一個もう一個と、ビニール袋の中をまさぐった。


その度中野はクッキーを半分に割る。


中途半端にかかる時間と、そのときだけいっそう静かになる空間に戸惑った。



「いちいち割らなくていいよっ。ちゃんと食べれるし」


つい言ってしまった。
ホントはちょっと心地良かったのに。










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