ぴーす
「ねぇ、知ってる?」
「ん?」
昼休み、しずるちゃんはあたしに声をかけてきた。
後ろを向いて、向き合う。
「このクラスに、根本芽亜莉って子がいるんだけどね」
「え……」
その言葉を聞いて、胸を痛ませる。
今日この教室に来てから、一度も見ていない。
同じクラスということも、今初めて知った。
「その子さ、3学期から学校来てないんだって」
「え……?」
一瞬、あたしだけ時が止まったかのようだった。
皆次々と動いてるのが、あたしは目にはスピードが倍になっている。
来て、ない……?
「それってどーいうこと!? どうして!?」
前にのめり込み、しずるちゃんにグイッと近づく。
しずるちゃんは座ったまま、後ろへ下がる。
しずるちゃんの瞳には、怖い顔をしたあたしが綺麗に映っていた。