ぴーす
「どーいうことって……。なんかいじめ? みたいなことあったらしいよ」


目を泳がせながら顔をしかめるしずるちゃん。


「なんか、真由ちゃんが原因らしいよ……」


そう言ってしずるちゃんは、今年も同じクラスになった真由ちゃんを盗み見た。
さっきより心なしか小さくなった声。



あたしがいない間に、何があったんだろう――。



キーンコーン



いつも通り低いチャイムの音は、あたしの頭の奥のほうで何度も鳴り響いた。
素早く自分の席に戻っていく皆。

ドアから入って来た見慣れない先生は、女らしく可愛い服を着ている。


どうしてかわからないけど、静かに流れた涙が一滴だけ頬に伝う。

頬杖をついた右腕の薬指に触って、綺麗なかたちだった涙がクシャッと崩れた。


誰も気づかなかった可哀相なそれは、拭かれることなくただ渇くのを待っていた。










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