ぴーす
「ごめんね桐生さん! さっき言ったことは嘘なの……!」


バッとこっちを向いた先生は、苦しそうに眉がハの字になっている。


「去年にいろいろあったのは本当だけど……。実は根本さん、学校に来ているの」


「え!?」



そんな……今日一日、芽亜莉を見かけたことなんてない。

どこにいるの――!?



「根本さんはね、皆と授業受けるのがまだつらいみたいで……。特別教室で時間のある先生や、カウンセラーさんと一緒に勉強してるの」


教卓にそっと寄り掛かる先生は、夕焼けの空と綺麗にマッチしている。

訳がわからなくなってるあたしの表情に、先生はやんわりと笑った。


「本当は言わないでって……根本さんたっての希望だったんだけど……。根本さんもきっと、桐生さんと話したがってると思って」


優しく口元を上げる先生は、まだ若くてお姉さんみたいだ。









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