ぴーす
「その教室……どこですか?」


鞄をギュッと握りしめて、真っ直ぐに先生を見る。
先生はやっぱりまた、優しく微笑んだ。



「……3階の、北舎よ。根本さんは皆と会わないように、遅めに帰ってるから、」



まだ会えるよ。


そう呟いたのを聞き漏らさずに受け止めた。

素早く教室を出たあたしは、誰もいない古びた廊下をひたすら走る。



ここは2階の中舎――。

北舎の隣。

きっと一年生のとき、なんの教室か不思議がって通っていた、あそこだろう。


階段より先に、渡り廊下に出る。

外が見渡せる緑色の床を、あたしの白いバレーシューズが進んでいく。

ちゃんとした黄土色の廊下に足が踏み入ったとき、あたしは走るのをやめた。

息をゼェハァ言わせて、肩を大きく上下に動かす。





「芽亜莉――!」



見つけた。









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