ぴーす
「もういいの! 気にしてないから。平気だから!」


「嘘だよ!」



背中が寂しいって言ってるよ。


大変だったんでしょ……。

あたしがいない間に。


あんなに気に入ってた髪を――芽亜莉が切るわけないじゃない。



追いかけても、追いかけても、手を伸ばしても掴めない。
さっき来た道を、あたしはさっきよりも速く走って戻っていく。


芽亜莉が緑色の床を渡り終わったとき、グルッとあたしのほうを向いた。
思いつめた顔をして立ち止まっている芽亜莉は、まだ必死で走っているあたしを見据える。



「桃花に何がわかるの――!?」



叫んだ芽亜莉の瞳は、さっきよりも揺れていた。
あたしは芽亜莉の言葉に一瞬足を止めた。

そして芽亜莉また歩いていく。
あたしもそれを追いかける。

でもやっぱり追いつけない。










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