ぴーす
あたし達の間にできた、溝なのかもね。
足がズキズキと痛みだす。
あぁ、そうだ。
あたしは足を骨折したんだっけ。
たとえ完治していても、リハビリをしていても、前みたいに走れるわけじゃない。
バタッ
「――っ」
足をくじいたあたしはその場に座り込んだ。
今のあたしの足では、もう限界なんだ。
床に擦れた膝の皮が少し破れいる。
芽亜莉は少しだけあたしを見た。
先生みたいに、苦しそうな顔をしている。
だけどそのまま歩いていって、さっさと階段を下がっていってしまった。
一人廊下に取り残されたあたしを、夕焼けが覆う。
目の前にできたあたしの影は、あたしと同じポーズをとっている。
「真似すんなよ……」
ポツリと呟いたあたしは、床に両手をつく。
瞬きするたびにポタポタと落ちる水滴は、影にへばり付いてゆらゆら揺れた。