ぴーす
「……」


芽亜莉は下へ俯いたまま黙りこくる。

悪びれてもいない真由ちゃんはまるで、悪魔が住み着いたようだった。


「喋れなくなっちゃったのぉ〜?」


薄笑いながら見下げる口調で、真由ちゃんは壁に寄りかかる。



――この空間から、抜け出したい。

そんな卑怯な考えしか浮かんでこない。



ダッ



廊下へ走りだしていった芽亜莉を追いかけようと、足を踏み出す。
だけどそこから動くことはできなかった。

真由ちゃんは腕組みしながらそれを見る。
その瞳にあっけなく負けて、そのまま立ち尽くした。



「あのさっ……こういうの、止めない?」


恐る恐る、だけど勇気を振り絞って聞いてみる。

周りの皆やしずるちゃんは、驚いた表情であたしを見つめる。


そりゃそうだ。


自分でも、ビックリしていたから。









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