ぴーす

「なんでぇ?」


「なんでって……」



不思議そうに話す真由ちゃんの声とは正反対に、表情は怖くなっていた。
目はつり上がって、あたしを睨みつけている。

怖じけづいて目を泳がせるあたしは、しどろもどろでただ言葉を探していた。

静まり返るその空間で、あたしはだんだんと視線を足元に向け始める。



――言わなけりゃ、よかったかも。


そんな後悔の言葉が心に染み付いて、埋めつくされた。



キーンコーン



静かに鳴り響いたチャイムに助けられた。
しずるちゃんがあたしの腕を引っ張って、自分達の席に戻る。

一瞬目に入ったしずるちゃんの顔は不安げ。

ガラッとドアを開けた先生は、芽亜莉のことを知らないみたいだ。



やっぱりマズかったかな。


でも……嫌だったんだ。

何かがあたしを変えようとしている。


それだけ、わかった。










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