ぴーす
キーンコーン
昼休み開始のチャイムが鳴って、あたしは手ぶらで図書室へ向かった。
この顔で中野に会ったら、また見抜かれるかな。
あたしは2回頬を叩いて、気合いを入れた。
何かあったら思考を変える。
それがあたしのモットーだからだ。
だけどあのときの芽亜莉の顔は忘れられない。
教室に来たときの、真由ちゃんを見つめた芽亜莉の表情。
苦しげで、何かを抱えていた。
ペタペタと音を鳴らす床は、あたしの曇った心にモヤモヤと残る。
ガララ....
図書室のドアを開けると、いくつもの本棚が並んでいた。
そして暑いほどあったかい。
ため息をついてすぐ右を見ると、中野がもうパソコンの前に座っていた。
貸し出しや返却に使われるパソコンは、箱型で少し黄ばんでクリーム色になっていた。