ぴーす
やっぱりマフラーをグルグル巻きにしている中野。
先生に怒られないのか不思議だ。
図書室にはあたしと中野以外、誰もいない。
図書室を利用する人はほとんど見たことないから、きっと珍しくないんだろう。
そんな静かな図書室には、暖房が効いていてブオーという音が絶え間なく続いている。
中野とマフラーと暖房。
あとコタツがあればバッチリなのに。
そう思っているあたしは、まだドアの前から動こうとしなかった。
「ドア、閉めて」
冷たく聞こえた中野の声に反応して、すぐさまドアを閉める。
中野はカタカタと素早くキーボードを打っていた。
「そこ、座ったら?」
またぶっきらぼうに言う中野は顎であたしに指示をだす。
言われた通り、中野の隣のパイプ椅子に座った。
錆びている椅子に座ると、キィと鈍い音をたてる。