ぴーす

やっぱりマフラーをグルグル巻きにしている中野。
先生に怒られないのか不思議だ。

図書室にはあたしと中野以外、誰もいない。
図書室を利用する人はほとんど見たことないから、きっと珍しくないんだろう。


そんな静かな図書室には、暖房が効いていてブオーという音が絶え間なく続いている。


中野とマフラーと暖房。

あとコタツがあればバッチリなのに。


そう思っているあたしは、まだドアの前から動こうとしなかった。



「ドア、閉めて」


冷たく聞こえた中野の声に反応して、すぐさまドアを閉める。

中野はカタカタと素早くキーボードを打っていた。



「そこ、座ったら?」


またぶっきらぼうに言う中野は顎であたしに指示をだす。
言われた通り、中野の隣のパイプ椅子に座った。

錆びている椅子に座ると、キィと鈍い音をたてる。








< 90 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop