ぴーす
「やっぱお前、わかってない」


いきなり聞こえた中野の声。
さっきよりも冷たくて、鋭い。
低く床まで澄んでいった。



「へ……?」


キョトンとしているあたしは、言葉の意味がわからなかった。
いつもの中野の雰囲気じゃなくてヒヤッとする。


中野はまたカタカタとキーボードを打ち始めた。
凍っているような瞳は、やっぱりまたブルーに光っていた。

そして中野の指先は、クリックをしだす。
ガタッと椅子から立った中野は、パソコンのそばに置いてあった本を持つ。



「これで、考えてみたらいいと思うよ」


ちょっとぬくもりが込められた声。
中野はすぐそばにある大きな机へ行くと、そのまま座って本を読み始めた。


あたしは不思議そうに中野を見ながら、さっき中野が座っていた椅子に移った。


パソコンの画面には、さっきの黒い背景じゃなくて、白く見慣れた検索画面だった。









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