ぴーす
すぐさまあたしは電話に十円玉を入れる。
急いで出っ張ったボタンを押す。
受話器を耳に当てると、プルルと音が何度も鳴った。
ガチャ
『もしもし……?』
懐かしい声がした。
電話してきたことを不思議そうに思ってる、そんな声。
「もしもし芽亜莉!?」
あたしは少し緑色の廊下に出た。
ここから、芽亜莉のいる特別教室が見える。
一番右側に、取って付けたような、孤独感がある、そんなところの一番上の階。
そこにある特別教室を一点に見つけた。
「今すぐ教室来て!!」
芽亜莉が何か言い出す前にしゃべり出す。
『え……』
受話器から芽亜莉の戸惑った声が聞こえた。
「いいから!」
強引だ、あたし。
ここは優しく説得しなきゃなのに。
だけどそんなん、やってらんない。
時間は待ってくれないんだ。