新しい風
会いたいと思ってもあんなことをしてしまったからあの桜の木の所に行きたくても行けないでいた
結局あたしは臆病者だ
そんなことを思いながら今年は遅咲きと言われていた桜も跡形もなく散ってしまったなーとどうでもいいことで気を紛らわせていた
鮮やかな緑を枝にまとって日の光を浴びて輝いている木はあたしには少し眩しい
そうやっていつものごとく教室の窓から外をみている時だった
視界の片隅に見覚えのある真っ白いワイシャツの背中が映ったー…
「っ…!」
気付けばあたしはガタッと立ち上がり教室を駆け出していた