新しい風

誰?!誰?あんた誰?!!
あたしはこの数週間ずっと1人だったのだ
まあそれは話しかけられてもそっけなく対応してたからであって…

だから今さら話しかけてくる人がいることに素直に驚いた


ワンテンポ遅れてだから何?っていつも通り冷たく返事をしてやると…
隣の知らない女は別にー?ってにっこり笑いながら返事を返してきた



「ただ渡辺さんの横顔綺麗だなって思って。桜見てたんでしょ?桜きれいだよねーっ!やっぱ綺麗なもの見てる時の人の顔って綺麗になるもんだよね!」


だからつい話しかけちゃった、邪魔してごめんね?って彼女は言った



あぁ、何だろう。この感じ。
愛嬌があるのにうざくなくて
勝手に喋ってるのに心地よくて
彼女の笑った時にできるえくぼが可愛いと思った

澄んだ茶色の瞳や凛とした顔
童顔なのに大人っぽい

彼女のもつ雰囲気が気に入った

「名前…」

「え?」

「あなた名前何てゆうの?」


これがあたしと葵の始まりだった

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