隣人高校生
お気に入りの曲を携帯のアラームにセットしたやつが流れる。
それがあたしの起きる合図
「んわーーっよっく寝たっ!」
いつもと同じようにのそのそベッドから這い出て閉めきっていたカーテンを開く。
今日はゴミだしやけんはよ出なあかんなーとか思いながら支度をしながら歯ブラシでシャコシャコ。そして顔を洗ったところで完全に覚醒。
ホンマのところはもっと寝てたいんやけど…大学はしゃあないしな‥
いつもの鞄を持って玄関のドアを開こうとすると、大家と男の子の話し声が聞こえてきた。
「いつもと同じなわけ、ないやんな」
『夏樹くん困ったらいつでも頼っていいんだからね?あぁそうだ。独り暮らしは大変でしょう?うちにご飯食べに来ない?娘も喜ぶわー!』
オバサマお得意のマシンガントークでしゃべるしゃべる。巻き込まれたくなくてドアの前に突っ立ったままのあたしは、果てしなく惨めっぽい。いや、「ぽい」じゃなくて惨めだ。
少年、朝からお疲れ様、なんて心の中で慈悲を垂れる。
うちんときは何も突っ込んでこんかったくせに、やっぱ美少年はなんでも優遇されるんやろか…。
得やな…。
そんなことをゴミ袋を片手に考えていると少年の遠慮する声がして話しが途切れた。
やれやれ、やっとでれるんすか。
そんなに長くはなかったけどドッと疲れが押し寄せてきた気分。