隣人高校生



「ワオ。」

「おはようございます」



朝からなんて素敵すぎる笑顔なんだ、無駄にフェロモン振り撒くなやい、なんて下手な誉め言葉も突っ込みも喉に押し込んで。



「お、はよ」


目の前には、昨日見た美少年が
立っていた。



「聞いてましたよね」




 気付かれてたんですか。



「そんなことしてへんよー!やだなぁもー!」

「ガサガサ音鳴ってましたよ」

「ゴミ袋か!」

「嘘ですけど」



 アッサリ、

 ホンマにアッサリ返されてしもた自分は、どうしたらええんですか

 しかも嘘て!嘘てなんや!



「騙すなんて酷いわ!」

「盗み聞きするのもどうかと思いますが」

「うっ…!」


 あれは違うねん。そう、違う違う。誰も聞きたかったんちゃうくて、ドア開けかけたら聞こえてきたっちゅうか‥な?


「わざとじゃないことぐらい、わかってますよ。そんな器用なこと、葎さんには出来ませんもんね」




 あれ、?

 なんかちょっと今グサッてきたよ

 しかもなんか引っ掛かるんはあたしだけなんやろか。



「なぁ、夏樹くん、夏樹くんは…」
「冬太。」

「へ」

「冬太って呼んで下さい。なんかその、葎さんに『夏樹くん』って言われるのはむず痒くて」



可笑しいですかね、なんて苦笑する姿にグサリ。
 男慣れしてなかった自分にとってはそれだけで辛いです。胸が、胸が、ね…!

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