海に届いた手紙
「今のところ…落ちついています。」

私は黙って聞いた。

「優子さんは…おそらく、くも膜下出血です。」

え?どういうこと…?

「今まで、記憶がなくなったり…頭痛を訴えることはありませんでしたか?」

記憶……?

昨夜食べたものが分からなくなったり…朝食べたものが分からない。

お父さんは死んでるのに、

「お父さんは?」と聞くようになった。

でも…それは、ボケが始まったのかと…

頭痛だって…ただの風邪だと思っていた。

「…治るんですか?」

「はっきりは言えません。」

「はっきり言って下さい!」

「今の時点では何も言えないんです。ただ…これからどんどん記憶がなくなっていく可能性がありますね。」

…記憶だけ?それだったら。

「記憶だけですか!」

「今の時点では…ということです。これから、進行していく可能性も考えられます。」

…それでも、少しでも可能性があるなら。

神様…

お母さんと達哉の命…

助けてください。
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