*CrimsonDoll【さみ短】
容姿など、繊細に造り上げてゆけば然程苦労もせずに美しくする事は出来た。


また声も多種多様の音声を合成させ、雑音となるものを取り払い、魅力的にすることはやはりこれも多少の時間さえあれば済む様なことであった。



しかし、これまで一番時間を費やす事となった難関というものは、なかなか乗り越える事のできない壁だったのだ。



その壁こそ『動き』。


いかに人間らしいか、それは全て『動き』に左右されていた。

人間の体ほど造りの複雑な物は世界中を探しても見つかるかどうかは不明であるし、世にはまだ解明されていない多くの謎さえ残っている。



クローン技術ならば確かにこの世界に存在している。しかし、それは人間の一部の機能を他から授からなければならないのだ。



そして青年の信条というものが『オリジナル』であり、化学で生み出されたクローンは青年の信条に無論反していた。




そのため青年は外と全ての関係を絶った。


というのは、既に青年は他があみだした技術に関しては知っていて、もしも新たな事実が発見されれば自分も影響されかねない、とのこと。





青年は造り続けた。



只一つの



いや『一人』と呼べる『オリジナル』を。






目の前に屹立する真紅の少女は、

まさに青年の最高傑作。





「本能まで・・・・機能した!僕はやった!衝撃耐性にも優れているだなんて完璧他ならないじゃないか!」




青年は体勢を立て直すと、立ち上がり外へと繋がるドアに手をかけた。




ほんの少し振り向いて青年は少女に言った。


































「待っててね。すぐ来るからさ。」








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