*CrimsonDoll【さみ短】
キィー・・・という不快極まりない音を立てながらドアは青年が出入りするだけの隙間を空け、それからまたゆっくりと閉まった。



散乱した機材や、ゴミや、材料の中に佇む少女の姿はあまりにも異様で、美しかった。




「”ご主人様・・・お出かけなさったのですね。では私はここのお掃除を。”」




少女はまず足元にあったものを拾い上げた。だが、同時に足の裏に異物感を感じる。



「”・・・・・？”」



見てみると、小さなピンが刺さっていた。傷口からはほんの少量赤い血が滴っている。少女はピンをぷちっという弾んだ皮膚の音を聞きながら抜いた。



傷口を指でさすってみる。指に付着した不思議な液体の感覚。



少女はそれを口に含んでみた。




「”これは・・・美味しくないもの。そしてこの尖った物はピン・・・踏むとこの赤い液体が出る・・・・・”」




脳内でカシャンという音が聴こえた。


それは一瞬で言葉を届けた。




「”・・・・・・・・・血？っていうのね。これはご主人様にも流れるものだわ・・・”」





少女は脳内から次々と送られてくる言葉を一つずつ覚えた。少女が１０００の言葉を覚えた時、部屋は元の姿を見せていた。








だが、それから何分、何時間と待ってもなかなか青年は帰ってこない。


しばらく窓の外を見つめていた少女が不安げに顔を曇らせて、立ち上がった。






「”迎えに・・・行かなくては。”」













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