*CrimsonDoll【さみ短】
伸びた影の元を男は不審そうな顔つきで辿った。


そこで男は目を見開いた。



男の目には表情の無い仮面に潜む、ルビーのような赤の瞳。同色に光の具合で金が舞うようにも見える長い髪。




青年の研究で生み出された真紅の少女。




「”ご主人様は・・・痛い。私と違うの・・・・痛いの。”」




牙を向いた瞳は男の一切を封じた。


口元が引きつっている。




「”あなたはそれを知っている。それなのにご主人様に・・・痛いことしたのね・・・・。”」




そこで男は自分の五感を疑った。




―――何なんだ?この滑らかな動き・・・発音・・・・質感・・・




自分が盗んだものにこんなものまでは・・・!!





少女は実にゆったりとした動作で、主人から刃を引き抜いた。

どぷっ



相当深い傷だったのだろう。勢いよく血は放出された。





「”血・・を出すには痛い思いをするの・・・・。こんなにたくさん出てくるなんて・・・よっぽどあなたは・・・”」




主人を抱きかかえたまま少女は左手にナイフを捉え、先端を真っ直ぐ男に向けた。







照準が合う



男にやっと防衛本能による指令が下る




男はあわてふためいて、体勢を崩しながら後ろを向いて逃亡を図る






少女は軽く前後にナイフを動かす




男は首元に電撃のような衝動を走らせて、静止。






そしてあっけなく地面に倒れ伏した。











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