僕たちは回り続ける
後ろから声がして振り返る。駿だった。


「お迎えが来たようだね。さあ御行き」


まだ義則に対して心残りは有るもののもし長くいて反感を買ったらたまったものじゃない。

軽くお辞儀して駿のほうへと梓は駆けて行った。駿は軽く不機嫌そうに舌打ちをすると「行くぞ」と梓の腕を引っ張った。それを知ったら理生はきっと羨ましがるだろうが、梓からしたら鬱陶しいだけだ。


「あそこには近づくな」


駿は冷たく言い放った。怪訝そうに眉を歪ませ早足で部屋へと向かう。梓は彼の腕を振り払い睨みつけた。


「酷い」

「何がだよ」

「義則さんへの仕打ち」

「俺が決めたんじゃない。それよりも、俺はお前に話があるんだ」

「何よ」

「俺は、何なんだ?」
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