僕たちは回り続ける
「知りたい。そのためなら何でもする」
「じゃあ、義則さんを出して」
「……できるかは分からない、けど……努力する」
「本当に?」
いくら愛人の子だからって閉じ込めて毒を盛るなんて非常識だ。顔すらも面で隠し周囲との関係を断たれる。もし自分だったら……耐えきれないなと梓は思った。
「約束する。母さんも父さんも俺には甘いんだよ」
「実子だからね」
嫌味っぽく言ってやった。良家の坊ちゃんでこのルックスで、成績は並み以上。運動神経は良くて……もう嫌になってくる。
ただ、愛人の子というだけで閉じ込められた義則のつらさは想像できないもので、大した家でもない自分の生活がとても裕福に思えた。
「でも、今更アイツ出してももう体持たないだろうよ」
「……わからないよ、盛り返すかもしれないじゃん」
「だと良いけどな。俺はあいつに恨みもねーし……」
相手はそうじゃないだろうけど。
あのあきらめたような口調を思い出すと胸が締め付けられた。