僕たちは回り続ける


「梓ずるーい。駿君とデート?」

二人とも落ち着いてほしい。梓はぶつけた腰をさすり立ち上がる。

「迷ってたから迎えに来てくれただけどよ」

「そぉなの?」

「そうそう」


疑い深い視線に思わず目をそらしかけながら梓。恋する乙女は恐ろしい。間違っても駿と親密な仲にはなりたくない、友情にひびが入るのは勘弁願いたい。

その後は各自の携帯アドレスを交換したりして、表向きはのんびりとした時間を過ごした。持ってきていた課題を仕上げ静香が駿の本棚に手を伸ばす。パラパラと雑誌をめくり、一つのページを目につけて、それを思い切り閉じた。


「静香?」


一瞬見えたそのページは男性が一人見えた、その男性を見た途端、静香の顔が曇った気がした。


「何でもない」

「そーか?ならいいんだけど、顔色悪いぞ」

「お菓子の食べすぎよ」

「じゃあ、胃薬でもいんのか?確かあったはず」

「何でもない」
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