僕たちは回り続ける


「静香?」

「なんでもないのよ!!」


険しい声だった。拒絶を前面に押し出したその声に3人がびくつく。気が立っているのだろう、彼女は心配して差し出した駿の手を遮り立ち上がった。


「帰る!」

「え、ああ」

止める間もなく静香は去って行った。思わず先ほどの雑誌を梓は拾い上げた。志和になったページには「セカンドシングル発売!」という字が躍っている。

そこに映るイケメンのさわやかな笑顔に釘付けになる。


「あーそれジルじゃん」


覗き込んできた理生の顔が輝いてる。


「好きなの?」

「ライブやテレビには出ないけど、音楽好きには人気なんだよねぇ。駿くん知っ
てる?」

「嫌、俺は……」

含むように語尾を濁す。


「声が駿君そっくりなのよねぇ、すっかり忘れてたけど……だって最近活動してないんだもん」

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