僕たちは回り続ける
もしかしかしたら、駿の正体がジルかもしれない。根拠はないけれども……。


小野瀬家は金持ちだ、金に物を言わせてどうするか、わからない。


「でも、昔からの写真、あるんでしょう?」

「ああ、それはある」

「じゃあ、気のせいじゃない?」

前の駿はどこへ行ったというのだ。

「似てる声なんてよくあるよ」

「……そうだな、そのうち記憶も思い出すよな」

結局は理生に聞くことなくその場は収まった。その後はたわいのないおしゃべりをして、電源を落とした。駿は意外と悪いやつでないかもしれない。そう、思った。



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