僕たちは回り続ける

「ねぇねぇ、今日も転校生だって」

「知ってる」


理生の好奇心旺盛丸出しな態度に冷静にそう梓は返した。夢にまで駿が出てきて少々寝不足だ。


……義則は、どんな顔をしているのだろうか。面で隠れたその容姿が気になってしかたなかった。ほかの友人にも理生と同じことを言われた。苗字が小野瀬でないことは、駿から聞いていた。


「でも、年齢は18歳なんだって。なんか病弱で学校行ってなかったからって」

「へぇ」


年齢は初めて聞いた。自分よりは上には見えたが、18だとは。それには少し驚きつつも納得していた。むしろ年齢の割にいは落ち着いているような気さえする、


「しかも同じクラス」

「知ってる」

声は平坦に、意識はうつろに。視線をぼんやり宙に浮かせシャープペンシルをもてあそぶ。チャイムが鳴って皆が席について、その時は来た。


「今日も転校生を紹介する。櫻井、入れ」

「はい」


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