僕たちは回り続ける
「もしもし、おねぇ?」


それを横から見てるのも何なので図書館で借りた文庫をパラパラめくり始める。梓は途中まで呼んでいた場所にしおりを挟んでいたのでそこから読み始めた。が、なかなか集中できない。思わず隣にダンボ耳。


「うんうん、それで?」


いったい彼女は何を話しているのだろうか。気になって仕方がない。


「OK、わかった。じゃあね」

「どうだった!?」


理生が電話を切るなり梓は詰め寄った。


「ジル、歌ってないだけで居るって。なんか、弟さん亡くしてドタバタしてるって。基本はミステリアスなキャラだからこれ以上は無理みたい」

「じゃあ、やっぱ乗り込み?」

「コレなんてどうよ」


理生は通学カバンに入れていた雑誌を取り出しにんまりした。


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