僕たちは回り続ける





昨日のことを不満に思いつつ梓は理生が家に尋ねてきたことで目を覚ました。

起きてすぐ携帯をチェックすると、義則からメールが来ていた。


「今度の土曜日どこか行かない?僕は場所わからないけど、どこかお勧めの場所が会えれば案内してほしい……か」

「へー、デートのお誘い」

「! 理生」

「声出して読み上げるから」


それよりも自分に無断で部屋で上がってる理生に梓は不満がある。いくら仲が良いとはいえぼさぼさ頭に涎の付いた顔でこんにちはするのは気分の良いものではなかった。


それは梓の癖なのだ。昔は読書中も声を出して読み上げていた。親に恋愛シーンを読み上げてるのを大爆笑されて以来、それはやめている。


携帯を手に持ち電車に乗る。本来は携帯を電車でいじることは良くないが。あわてて携帯を閉じてほほを軽く染め上げた。義則のこととなると多少周りが見えなくなる。あの思い出の約束の君というだけで意識してしまうのだろう。


「あたしも付いてこうか?」

「小野瀬誘う気?」
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